喫茶店チェインストライク
家では作業が進まないから図書館に来て勉強するようなやつは甘え、というような指摘が、津村記久子『まともな家の子供はいない』でなされていたような気がしますが、ぼくはよく、「家では集中できなーい」とかいう甘えた理由で、喫茶店や図書館に出かけます。ただ喫茶店の場合、個人経営の喫茶店に行ってコーヒー1杯で3-4時間以上じっとしているのはやや迷惑というか、規模によっては営業妨害というか、もはやそれは暴力ではないかといった非難を免れることができませんので、個人経営の店ではできるだけ1-2時間につき再注文するということを心掛けますが、今度はそうすると僕のほうが経営破綻するわけですねー、経済学の語源は家政学なんだって!
そこで立ち現れてまいりますチェーン店の喫茶店、国家とまではいかなくとも大資本の会社によって営まれており、都市を中心に、非常に広い範囲に分布している喫茶店類喫茶店科喫茶店チェーン亜科に属するチェーン店の喫茶店であります。チェーン店といえば、サービス業だしバイトさんばっかりだし、きっと正社員のはずの(もしかしたら契約社員)店長は過酷な労働環境にいる可能性が高く、今流行りのブラック企業、かもしれず、ホスピタリティはマニュアル化されて、人間の温かみなどない場所です(そうとは限りません)。こんな施設を利用して、よいのでしょうか、わからない、わかりませんが、僕は言いたい、特に何かを食べたいわけでも飲みたいわけでもなく、ただそこにいるためだけに長々と喫茶店に居座ろうとするすべての人類よ、チェーン店喫茶に行かれたい(ヤハクィザシュニナ)。
つまりチェーン店喫茶店であれば「長々居座って申し訳ない」などと思う必要がありましょうか、なくなりましょうか、だって相手は大企業だよ! バランスシート見たわけでもないしわかんないけど、きっとたんまりお金持ってるし、ある程度は座ってていいんじゃないかなあ。こういう店を漫然と利用すれば労働者から人間性を奪うような大資本の商売を利することになり、ブラックバイトやブラック店長やとにかく黒く染められし者たちに対する搾取にあなたも加担することになるんですよってそういう意見は一つの(極端だが素直な)意見として大いにありうるものですが、こうした意見を前提とすれば、そういう悪の大資本は打ち倒されるべきなのだから、我々長時間利用者同盟による粉骨砕身の圧倒的大滞在是即一撃必殺。長い間居座ることによってブラックな労働環境を強いる大資本に対して客としてのストライキを行う、これは、消費者運動なのである! これは店舗利用者の正当な権利行使なのである! 我々の長時間利用ストライキによってブラック労働者は職を失う可能性があるが、さすればブラックな企業がひとつ世から消えるということ、尊い犠牲と見る向きもありましょうが、実際にはむしろ倒れる前にブラックな企業はブラックな態度を改善するかもしれませぬ、であればwin-winならぬwin-win-lose, 企業だけがご苦労をなさることになりますが、努力していただけるのであれば我々もやめましょう、1hに1回コーヒーを買いましょう、そして地球より重いそれぞれの人生の長い時間を、あなたと共に過ごすことを約束しましょう!(帰ってくれ)
党首演説終わり、まとめ
チェーン店の喫茶店(カフェ)って、長い時間座っていろいろ読んだり書いたりするのに便利で助かるー!
(喫茶店各位: いつもお世話になっております、ご迷惑おかけしてたいへん申し訳ありません)
以下では具体的にチェーン店の喫茶店の比較をしていきます。
値段: 安い
コーヒーの味: コメントしにくい
食べ物の味: ふつうにおいしい
言わずと知れた重鎮、というには身近すぎるし値段も安いし店舗のデザインものんびりしている。別に喫茶店チェーン店界で重鎮として君臨するにあたって威厳は必要ないような気がする。威厳のあるコーヒーショップは(個人経営店にたまにあるけど)入りにくくなるので諸刃の剣なのであろう、この老若男女が居心地悪くならないのんびりユニバーサルデザインこそがドトールの武器なのだ。入り口が狭く見えても入ってみると意外に広い、という店舗がけっこう多い、気がする。平日はひとりで勉強やお仕事に来るひと以外に、保険勧誘とかしているビジネスマンもけっこう来ている。おいおいその契約大丈夫か、とかこっそり聞き耳立てながらあなたの作業が進められる。コーヒーの味については何か書いて名誉毀損訴訟を起こされたらたまらないから何も言わない。サンドイッチやミルクレープはふつうにおいしいし値段も程良いと思う。
カフェドクリエ
値段: 安い
コーヒーの味: なんとも言い難い
食べ物の味: ふつうにおいしい
これはフランス語ですか? グーグル翻訳アプリにアクサンテギュつけるの面倒だったのでつけないまま「cafe de crie」と入力してフランス語➡︎日本語の翻訳をしてもらったら「コーヒー叫びます」と出た。絶対に違うと思う。アクサンテギュ(アルファベットのうえについてる点)って大事なんですね。ともかくこの「コーヒー叫びます」ですが、個人的には勝手にドトールコーヒーのライバルだと思っている店です。価格帯も味もラインナップも店舗デザインもすべてが似ている……。カフェドクリエだとドトールコーヒーにはないパスタが食べれるのが売りになるだろうか。コーヒーの味は同じくコメントしにくい感じだけど、こちらではたまにレシートでのコーヒーのおかわりが安くなるサービスをやっています。長居するときはうれしいですね。サンドイッチがトーストサンドになっていて、いろいろ種類があって面白いよ。食べ物、飲み物共にシーズン限定のメニューの数が多いイメージ。
https://chatnoir-company.com/chatnoir/html/brands/brands_veloce.html
値段: 安い
コーヒーの味: うーーーーん
食べ物の味: 実はけっこうおいしい
ベローチェというと一時期は住処を追われた喫煙者たちのアジールとして知られていましたが、最近は分煙店舗の禁煙コーナーも広くなり、非喫煙者も利用しやすくなりました。シャノワール(フランス語でクロネコ)という会社のお店で何年かに一回ふちねこというかわいいグッズを配ってくれる、かわいい。ドトールやコーヒー叫びますと比べると店舗数は少ない気がしますが、値段はかなり抑えめで利用しやすいです。店内の配色がドトール、カフェドクリエと比べると暗めになっていて落ち着きがあり、比較的男性のおじさま層が多いイメージです(筆者は「男の子は青、女の子はピンク」の呪いをここにまた見るものである)。コーヒーはまあ、まあ、200円とかなんで、ね、という感じですが、サンドイッチやケーキはけっこうおいしいです。サイゼリヤみたいな感じで、シーズンごとの入れ替わりとかほとんどせずにシンプルに定番だけを売る業態で、味をある程度保ったままコストダウンを図ってるんだと思われます。ぼくはピーナッツバターサンドが好きです。飲み物はいっそのことティーバッグで準備してくれる紅茶のがおいしい、が、コーヒーのが安い。
サンマルクカフェ
http://www.saint-marc-hd.com/saintmarccafe/
値段: 安い
コーヒーの味: 言葉にならない
食べ物の味: ふつうにおいしい
低価格帯コーヒーショップ業界に颯爽と現れた風雲児、近年めきめきと店舗数を増やす、店内でパンを焼く、その名も、サンマルクカフェーッ! というのがぼくのなかにあるイメージですが、サンマルクカフェ自体は昔からありますよね。なんかでも最近、店舗数が増えて、どこ行っても見かけるようになった気がする。サンマルクカフェといえばチョコクロであり、レジに並ぶ途中にたくさん配置されているパンたちなのですが、コーヒーが上記3店舗に負けないくらい安く(味には一身上の理由から触れたくない)、店内にふかふかの椅子があることも多く、長居しやすい。店舗によるのはわかっているけど机が小さいことが多いのは居座りには減点ポイント(居座られたくない企業の目論見を打ち倒すためにみなさん我慢してください)。あとはなんとなく、店員さんがとりわけ忙しそうなことが多い気がしている。つまりむしろ静かなる消費者ストライキで長時間席を埋めてアルバイトさんのお仕事のペースを落としてあげるべきかもしれない。パフェとか、ケーキ以外のソフトクリームを使ったデザートが豊富で、「デニブラン」なるデニッシュ生地のうえにソフトクリーム載せたやつが、かなり甘くて、とても甘い味が欲しいときはおいしい。「デニブラン」、コメダコーヒーのシロノワールとかココスのココッシュを彷彿とさせる商品である。どれが先とかわからないけど人権を守ったうえでみんなで切磋琢磨して良いものを作って欲しいです!
2018年追記: その後の調査で、店舗によってはSサイズのコーヒーをメニューから消すという新しい手法でもって客単価を上げている場合があるということがわかってきました。でもどこでもレシートでお代わりできるシステムがあることもわかったので許してあげてください。
以上、ひとまずのところ、コーヒー1杯あたりの価格250円以下で厳しい戦いを繰り広げる4つのチェーン店をご紹介しました。どの店も示し合わせたかのように店名がフランス語なのはなぜ。ひと昔前に日本に流通していたフランスのイメージに由来するんだろうか。いまはコーヒーより紅茶のイメージのが強いですよね(ってぼくのなかだけなんだろうか)。
次回は、よりハイクラスなコーヒーを体験できる以下のチェーン店を取り上げる予定です! あれ、これ続くの!? 続きます! また見てね!
番外編ではあなたの町のドーナツショップも出る予定だよ!
- ミスタードーナツ
- クリスピークリームドーナツ
ちなみに、本記事ではカフェと喫茶店の区別を曖昧にしていますがチェーン店の経営会社的にはフルサービス(席まで注文取りに来てくれる)かカフェテリア方式(カウンターで注文して自分で席までもっていく)かで区別されることもあるようですが個人経営だと中間の店(カウンターで頼んで席まで持ってきてくれる)もあるしなんともいえないし英語と日本語ってことでいいんじゃないでしょうか!(フランス語?)
welcome to ようこそ 旅立とう
ここはジャパリパークではないし、僕はサーバルキャットのサーバルではない。かばんでもない。きょうは帽子も被っていないし、ポケットにお財布を入れて、晴れた日に電車に乗っている。でも実はリュックは背負っている。混んでいる電車ではリュックは前で持つのがマナーだけど、今はそこまでは混んでいない。バスに乗らなくとも目的地に着けそうなことはスマホが教えてくれる。定期券の範囲内の乗り換え駅についたので、この筆先は一度止まる。
これより定期券の範囲外へと出る。8分後にまた乗り換え。この春からまた大学院に通うことになったので、とりあえず僕はまた学割で定期券を買えるようになった。きょうは学割定期の範囲内で乗り換えて、学割定期の範囲外へ向かう。休日のちょっとした冒険というほどのものでもないお出かけです。冒頭でジャパリパークの名前を出したのは昨日の夜にミュージックステーションでけものフレンズというアニメの主題歌が歌われるということでミュージックステーションとか普段見ないし別に絶対見届けたいというほどの情熱もなかったのだけどちょうど教えてもらってせっかくだったので、見た。サーバルちゃんたちの歌はあんまり上手じゃなかったような気もしたけどそれでも歌を聴いていたらアニメのけものフレンズが面白かったなあということを染み染み思い出した。ミュージックステーションの説明だと、けものフレンズの内容はかばんちゃんが旅する成長物語みたいな感じだった。間違っていない。でもそれだけというのでもない、というか、けものフレンズの特有の面白さの抜け落ちた内容説明であるような気もした。でもけものフレンズってどう面白いのかよくわからない。何が面白かったんだろうなあ。乗り換え。
もうすぐ目的地に辿り着いてしまうのだけど、サーバルちゃんとかばんちゃんの旅の目的地ってどこだったんだろう。最初は図書館で、その次は港で、その次は別の島? 図書館では料理をするのです。なんで。われわれは賢いので。いろいろ、ぜんぜん、わっかんねえよ、っていう会話が続くのだけど、ボケ倒す感じのリズムは楽しい。僕は激しい漫才的な笑いを見ていると時々ツッコミ役の勢いある言葉に怯んでしまったりすることがあるので、ツッコミ不在で、自分が勝手に頭のなかで好きなタイミングで好きな程度でツッコミができるのは気が楽なのかもしれない。でもフレンズたちがボケる(?)たびに、視聴者として必ずしもツッコミいれてるわけではなく、ボケの川に流されてそのまま帰ってこれなくなるというか、思えば遠くへ来たものだ、とか、ひとしきりツッコミそびれて流された先の小島から自分の遍歴を振り返ってみるのを楽しむこともある。こういう営みは、意志の力は弱いのかもしれないけど自分では思いもつかないような場所に辿り着くというロマンチズム的なるものがある。これぞ旅情? でも普通、旅をする上では綿密に予定を立てなければいけない。じゃないと電車にもバスにも飛行機にも乗れない。目的地の最寄駅に到着。
スリランカ紅茶のお店でお昼を食べようと思う。ひとりで。ここに来るまでに一度、書店に引っかかる。読みきれないほどの本を買うのはお金がもったいなくていけないですね。でも本屋に来ると、買おうと思っていなかった本に手が伸びるのがおもしろい。料理が出てきた。
料理を食べ終わった。紅茶が付いている。紅茶のお店だからそりゃそうなのだけど。きょうは暖かい日だけど温かい紅茶がおいしい。暖かいなかで温まる。スコーンとかも注文したい。ランチ後に注文できるんだろうか。紅茶を一口。おいしい。紅茶というとイギリスで、イギリスはインドのほうを支配したりしたので、インドでは紅茶が、えーっとでも、イギリスが紅茶なのはインドを支配したからなのかもしれず、因果関係、たまごにわとり、もうすぐイースター、わからないのです。ともあれ紅茶の葉も大海を渡って世界中を行き交っていたしいまもそうしているんですよね。僕より世界を見ている葉っぱ。でももう死んでしまっているのかも。イギリスで大航海、というイメージがいま強くなるのは、このあいだ上野の大英博物館展に行ったからで、大英博物館展によると、ダーウィンは30代前半くらいで自然にある未知のものを探しに世界一周の大冒険に出たみたいだ。それでカメとか見つけたりとか、進化論を思いついたりとか。ダーウィンの隣には、冒険とかに出ないまま、勉強をして進化論みたいなのを思いついた人のことも書いてあった。でも名前を忘れてしまった。ごめんなさいイギリスの偉人。どちらにせよ、机の上でも船の上でも同じことを思いつくというのは不思議だ。小説や文章は、机の上でも書くことがあるし、いまみたいに電車に乗りながら、紅茶を飲みながら書くこともある、あ、紅茶を飲んでいるときも、「机の上でやっている」に含まれるのかもしれない。つまりダーウィンは海の上をまだ見ぬものを求めて旅をして、机の上でその成果をまとめた。ええっと、この文書は、どこに向かってるんだ?
実は予定があるのは夕方以降だから、今日はちょっと早く家を出てきただけで、お昼を食べたあとにはまた本屋を少し見て、チェーン店の喫茶店にきた。 ノンカフェインのルイボスティーを頼んだ。まだ口をつけていないながら、さっき飲んだ紅茶のがずっと美味しいんだろうなあっていうのがわかる。一口飲んでみた。まあルイボスティーだしジャンルは全然違う、でもなあ、お茶代というより席代。紅茶、さっきのはなかなかよかったなあ。結局スコーン食べなかったからまた行きたいなあ。
イギリス人は選挙のときだけ自由なのであり、そのあとは奴隷だ、ってルソーが言いやがったみたいに、ひとは旅程を立てるときだけ自由で、そのあとは奴隷なのかなあ。でもダーウィンもサーバルも、そんな風には見えないね。途中でいい発見もあったみたいだ。僕もできればそのように生きたいものだ。ダーウィンやサーバルやかばんちゃんみたいに。
Kindleで買って読まないままになっている光文社古典新訳文庫のダーウィンの進化論とか、読まなきゃいけないな。
(そう言いつつ、Kindleを開けばついつい「バーナード嬢曰く」などを読んでしまうのであった)
トイックとトイフル: 仔猫の話
トイックは猫で、トイフルも猫だ。二匹は姉妹で、たぶん同じ母親から生まれた。身体の模様もほとんど同じだから、父親も同じかもしれない(実は猫の母親は、一度に複数の父親の子どもを産むことができるのだ。すごい)。でも正確なことはわからない。二匹は野良猫だったから。