良い日、ころころ

良い日には旅立たずに転がっています

喫茶店ハンガーストライキ

お腹が空いたらどこへ行こう? 喫茶店へ行こう! なんでやねん! だってご飯食べてから喫茶店に入ってしまったら、余計にお金がかかってしまうから。つまり、ラーメン食べてからコーヒー飲んだりすると。コーヒー飲まなきゃいいじゃんと言われてしまいそうですが、コーヒー飲みたいんじゃなくて、ただここにいたい、この街の一角で静かに誰にも文句を言われないまま動かないでいたい。本を読んだりしたい。この記事はそんなお腹が空いてもラーメン屋にすぐ入らない、なぜならラーメン屋さんは食べたらすぐに店から出なきゃならないから、自分自身という麺をスープに浸したまま伸びっぱなしにしてしまってはいけないから、かといって冷水でしゃきっとシメるのも無理、夏だって濡れたら気持ち悪い、だらだらしていたーい、街の中で時間を持て余す、そんなあなたのための喫茶店チェーン紹介記事です。

 

前記事 「喫茶店チェインストライク」

喫茶店チェインストライク - 良い日、ころころ

 

【突然の豆知識】オランダで「コーヒーショップ」というと大麻を出してくれるお店を指します。オランダでコーヒーを飲みたいときは「カフェ」に行きましょう!(※筆者はオランダには行ったことがない。行ってみたい)

 

以下では具体的な喫茶店チェーンを扱っていきます。

 

スターバックスコーヒー

http://www.starbucks.co.jp

値段: 頼み方による

コーヒーの味: 苦い

食べ物の味: おいしいけど高い

さて、いよいよ出ました、スターバックスコーヒー! やれ高いだの、おしゃれで入りにくいだの、注文できないだの言われる一方、「やっぱりスタバ最高ー♩」とか「フォトジェニックな旬のフラペチーノ見逃せない♪」とか言う層もいて、もはや日本社会を分断するために、海の向こうからやってきた刺客といっていい。果たしてその実態やいかに。

その実態は、別に個人店の喫茶店(珈琲一杯500円ほど)に比べたらそれほど高くないし(むしろ安く済ませられるし)、あちこち田舎のショッピングモールや病院や学校やに広がりすぎて、もはやおしゃれでもなんでもなくなっているカフェ、です、とわたしは思っています。

こう言うと非情な物言いで、スターバックスに批判的なのかなこいつ、と思われるかもしれませんが、別にそういうわけではなく、むしろスターバックスには意識(そこそこ)高い系(すごく高いひとは来ない)のMacBook Airを携えたひとが大勢おり、また受験勉強する高校生や、会社帰りに年収アップ目指して英語や各種資格試験対策に血道をあげる大人たちも大勢おり、座って本を読んだり、何か書いたりするにはたいへん居心地がいいです。飲み物もドリップコーヒーを頼めば108円でお代わりできるし!

そう、この"レシート デ オカワリ"のシステム、喫茶店チェーンのなかではスタバが先駆け的存在であり、いまなおトップランナーです。というのも、多くの店ではレシートでのお代わりは同一店舗に限るとか、サイズはSサイズに限るとか、ホットからアイスへの変更不可とか、いろいろ制限があるものです。しかーし、スタバは同一店舗に限らず当日中であれば108円でお代わりできるし、サイズは定価で買った一杯目のコーヒーと同じかそれより小さいサイズを選べるし、さっきホットコーヒーだったのを後でアイスコーヒーにしてもいいんです! すごくない?? しかもスタンドにある牛乳や低脂肪乳や砂糖やはちみつやガムシロやココアパウダーやシナモンで味変もできます! スタバのコスパ侮り難し。と、ぼくは思うですが、周囲の人々は、みな高いと言う……みんなフラペチーノを飲んでるから? 確かにあれは値段と見合ってない。

あとごはんがおいしいことも述べておかなければならない。スタバのサンドイッチやケーキはおいしい。アメリカンテイストで。年がら年中出ているサラダラップの根菜チキンとかチーズケーキとかシュガードーナツとか手堅くうますぎる。ただ高い、ひどく高いのもあるね、このあいだ、アボカドのなんかサンドイッチとか、500円超えてたのありませんでした?? あれはちょっとねえ、いくらベンティサイズ(スタバ最大サイズ、水筒みたい)のドリップコーヒーを半分飲んでから牛乳を半分足してそれから108円でお代わりしてもう一回半分飲んだら牛乳注いだとしてもです、あのサンドイッチ買ったら予算オーバーですよ。期間限定フラペチーノも地雷メニューが多いので気になった方は慎重に。そう、スターバックスコーヒーは、もうインスタ映えするような店ではないのだ、ないのだから、Tシャツ短パンサンダルでドリップコーヒーを飲んでドーナツでも買って長居しよう! でもTシャツ短パンだと寒くて長居は難しい!

あ、コーヒーの味は、やたらロースト感があって、飲みすぎると胃が痛くなります。ベンティサイズでのお代わりは、おすすめできませんね(^_^;)

2018年追記: おかわりが150円になりやがりました。ガッデム。


タリーズコーヒー

https://www.tullys.co.jp

値段: 頼み方による

コーヒーの味: まあまあおいしい

食べ物の味: レンチン

スターバックス無双を食い止めるために日本人が海外駆けずり回って引っ張ってきたタリーズコーヒージャパン! スタバより若干明るい気がする店内! ランプの下でお待ちいただくスタイル! 圧倒的スタバ感ですが、中身は結構違う、味の方向性も。

タリーズはパスタやパンケーキといった、がっつり調理系の料理が置いてあったり、アイスクリームスタンドがあったり、一見食べものがおいしそうなのだけど、なんか意外と美味しくない。注文してみると小さく絶望。そもそもパンやスコーンを温めるためのオーブンが店内にないようで、基本ぜんぶ電子レンジでのヒーティングに見える。だからパンとか温めてもらっても、さっくり焼かれてなくて、のっぺり、むちっとしてるのだよね。パンケーキもぱすぱすぽすぽすしてる。でもパンケーキはクリームいっぱい載せてくれるのでたまに頼んじゃう(あれ?)。

タリーズの美徳は実はコーヒーで、コーヒーショップとしては真っ当である。スタバのようなロースト感が苦手なひとは、たぶんタリーズのがおいしい。比較的軽めでさっぱりしていて。スタバもタリーズも定期的にコーヒー豆が変わりますが、豆の種類による味の違いは、タリーズのがずっとはっきりとしています。タリーズも負けてばっかりじゃないぞ。

でも本日のコーヒーのレシート デ オカワリ サービスはSサイズだけ、購入店舗だけ、アイスコーヒー化不可。

 

コメダコーヒー

 http://www.komeda.co.jp

値段: たかめ

コーヒーの味: コメダ

食べ物の味: おいしい

レシートお代わりサービス? なにそれ? 必要? コーヒーチケットならあるけど……というコメダコーヒーは、東海出身の「モーニング」がある喫茶店チェーン! 11:00までに行くとコーヒー1杯の値段でトーストとたまごが食えるぞ。コーヒー1杯の値段は400円超えと喫茶店チェーンにしてはお高め。お代わりサービスはないけど、おかわりに(その代わりに)1.5倍増の「たっぷり」シリーズがあります。

コメダコーヒーのコーヒーの味、なんていうか、変わっている……おいしくないというのでもないのだけど、近年の香り重視の浅煎りオシャレコーヒーとは一線を画しており、なんていうか、レトロな名古屋のコーヒーの味がする。いやもっとおいしいレトロなコーヒーはたくさんあるので、レトロなテイストがあるというべきか。酸っぱめで香りが少なくて苦味はそこまでない。

コメダで個人的におすすめしたいのは小豆入りコーヒーとカツサンドヒレカツプレートです。カツサンドは値段高いけど、あれです、大きくて、パンが変で、おいしいよ。味噌カツサンドもあるけど、味噌カツより海老カツや普通のカツのがクオリティ高い気がする。ぼくはアンチ味噌カツではないし「そろそろやばとん?」って名古屋行くたびに頭に過ぎるくらいには味噌カツが好きだけど、コメダ味噌カツは、いかんな、ふつうのカツがいいかな。ヒレカツプレートは、漫然と頼むと言葉を失うほどの量のパンとキャベツが出てきておもしろいですよ。ただ店によって量に多寡がある気がするし、揚げ物の上手さも異なっている気はする。揚げ物は油の温度管理が難しいよね。小豆入りコーヒーもぜひ。勇気を出して飲んで欲しい。のほほんとおいしいよ。

公式名物たるシロノワールは、クロワッサン? と呼ぶにはやや脆弱なパン生地の上に、ソフトクリームが、とぐろを巻く攻撃! こうげきぼうぎょ命中アップ! クロワッサン生地のサクサク具合でいえばサンマルクのデニブランのがおいしいかもしれない。「キャラノワール」なるシロノワールのキャラメル味を考えるまえに、基本のシロノワールのクオリティの向上に努めるべきではないか(政策提言)。パンの温め具合でも味が変わる。

ちなみにコメダコーヒーは店舗ごとに雰囲気がけっこう異なっているため、追加注文もせずに長居できるかどうかは店による。うちの近所のコメダではできる。

2018年追記: キャンペーンで一時期半額でお代わりできる時期がありました。


上島珈琲店

http://www.ueshima-coffee-ten.jp

値段: そこそこする

コーヒーの味: ふつう

食べ物の味: わりにおいしい

雰囲気、値段、味、どれをとっても及第点であり、強いて言えば値段がちょっと高いかー!? でも総合評価を下げにくい上島珈琲。意外とあちこちに見かける。ミックスサンドがうまい。ザントクーヘンがうまい。コーヒーはふつう、まずくない。名物の黒糖ミルクコーヒーもうまい。貶しにくい(貶す必要ないけど)。

店のトーンも落ち着いているし椅子もふかふかしていることが多いし机も広めなことが多いし長居しているひとも多い。敢えてどこか疑問視するとすればインテリアでありオシャレ演出のために置いてある洋書のセレクトが、どの店も、わけわからない。英語の文法の発達過程に関する言語学の本とか置いてある。なんで。インテリアやったひとが英語に詳しいのかなと思うと柱とかにはなんかgood coffee time...みたいな雑な感じの英文が印字されてたりする。なんで……。しかし実害はない。

最近はホットコーヒーのお買い上げレシートでコーヒーお代わりサービスも始まり、ご購入店舗限りでSサイズのみですが、お代わりできます。助かります。助かるなあ、電源ある店も多いし、と型落ちのサーフェス充電しながらSサイズをお代わりしてみて、びっくり仰天、お代わりした会計でもらえるレシートで、またお代わりできるじゃないですかー! つまり無限にお代わりできる!(100円で)(スタバでは繰り返しお代わりはできない)

こりゃあ居座り客が多いわけだな! レシートお代わりしてる客あんま見かけないけど!

 

喫茶ルノアール

https://www.ginza-renoir.co.jp/renoir/

値段: たかめ

コーヒーの味: 「ふつう」から「うーん」のあいだ

食べ物の味: 「ふつう」から「うーん」のあいだ

ルノアール、すでにホームページにアクセスした段階から、「会議室として使える」店舗の検索ができる感じで、出発点からしてちがう。ほんとうに喫茶店なのか。喫茶店で通された席の先にコンセントがあるかないかが気になる昨今といえど、ルノアールほどはっきりと店員さんに「コンセント使える席がいいんですけど」って言ってもいい空気の店があるだろうか。他の喫茶店チェーンがまだかろうじて手離さないでいる飲食店としての矜持をルノアールはもうなんか「まあいっか」ってうっちゃって、作業スペースとして売り出しちゃっている感がある。思い切りがいい。いつのまにかそうなっていた、いつからだろう?

コーヒーを飲み終わってしばらくぼうっとしていると、店員さんが笑顔で温かい緑茶をサービスしてくれるのが特徴で、最初は何が起きたのかと思う。おれは通りを歩いているうちにそういう文化の外国に来ていたのか……喫茶店で温かい緑茶をサービスしてくれる……いやこの緑茶は、日本の緑茶だぜ……。

メニューの値段は、全体的にやや高めなのだけど、この全面的に居座りを承認されているという感じは他で得難い。居座り族が差別や偏見に晒されないユートピア。それがルノアールである!

逆にいえば、ここでは消費者運動としての喫茶店ストライキは成立しない。我々は運動家から一般市民にいつのまにか戻っている……そしてなんかおしぼりで顔を拭いて、本とか読んで、コーヒー飲んで、サンドイッチ食って、まだ本とか読んで、緑茶を啜っている。身体には知らず知らず緑の血が流れ、争いは終わル、ノデアール。

ただ、コンセント上等のコンセプトのわりに、テーブルが小さめの店が多いのは少し気になる。もうちょっとテーブルが大きいと作業しやすいんだけどなあー!(準クレーマー)

あ、もちろんふつうにおしゃべりお茶タイムしてる人もたくさんいますよ。分煙系で分煙の完璧さは店によってかなり違うので、そこも各自ご留意ください。


星乃珈琲店

http://www.hoshinocoffee.com

値段: たかめ

コーヒーの味: ふつう

食べ物の味: ふつう

パンケーキブームにのってキャッチーにふっくらと存在感の膨れあがった星乃珈琲店は現在もオンゴーイングに店舗数を増やしております。意外な場所にひっそりと現れることもしばしば。ふわふわドリアがあるからといって喫茶店としてのクオリティに中身がないわけではなく(いやスフレドリアみたいなのはあんまりおいしくはないのだけども……おもしろいしテンションは高まるが……)、席と席のあいだに仕切りがあったり、コーヒーお代わり半額だったり、食べ物とセットでドリンク安くなったり、とにかく痒いところに手の届く仕様です。長いおしゃべりにも一人の読書にも。ドトールコーヒー系列の会社がコメダコーヒーに対抗するために始めたらしい。というわけで、まずお席にご案内されるフルサービス式ですよ。冷房が強めの店舗が多い、気がする。バランスはいい。


珈琲館

http://www.kohikan.jp

値段: たかめ

コーヒーの味: レトロおいしい

食べ物の味: おいしい

珈琲店は、上島珈琲店を牛耳るUCCがフルサービス式で展開する喫茶店チェーンです。ショッピングセンターやデパートの中途半端な階にあったり、フランチャイズで「なんでここに?」という場所で「ほんとに珈琲館? 個人喫茶では……?」という雰囲気で営業していたり。みんなが見たことあるのはどっちかな!

レトロな純喫茶チェーンを目指しているようで、珈琲は淹れ方を、サイフォンでよろしくとかフレンチプレスでよろしくとか指定できます。食べ物も保守本道で、パスタではなく「スパゲティのなぽりたん」、パンケーキではなく「ホットケーキ」です。どっちもけっこうおいしい。高いけど。

ただあれっすね、店内の雰囲気的に、がっつりお勉強とかは難しいですね。いやフランチャイズだとかなり雰囲気にムラはあります……。一人静かに読書、友達と延々長話、この喫茶店2ミッションは達成できます。むしろ、志望校落ちた勉強勢死ね、って思ってるひとなどは、勉強勢いないので、珈琲館、ありですよ。分煙は各店舗ごとでムラがありますね。

 

 

  

はい、そろそろ、喫茶店チェーンについて延々と一人で語るのに疲れて来ました。たぶん読んでいる方も、延々とひとりで語っているのを聞くのに、疲れて来たのではないでしょうか。腹ペコというよりもうお腹いっぱい、というわけで、ドーナツ店は、また、いつか……いつ? 腹ペコになったときに。

ドーナツは最近、コンビニドーナツのせいもあって経営がピンチらしいのですが、こないだミスドに行ったとき、デカフェコーヒーがあって、あ、すてきだな、と思いましたね。デカフェコーヒーはお代わり不自由のようでしたが。あとはクロワッサンドーナツが復活してて、なるほどなるほど、って、けっきょくするんかいドーナツの話! クリスピークリームドーナツも、ブームが落ち着きすぎて、まだ日本にいたの、と思われがちですが、おいしいぜ! オリジナルグレーズド以外なら、クッキークリームドーナツはどうでしょう、ドーナツのうえの、日本であまり見かけないクリームを嗜むとかは、どうでしょう!? コーヒーが、値段の割にでっかくて、ここのあまーいドーナツを食べるときはこのくらいたっぷりでなくっちゃという感じで、悪くない、決して悪くない、むしろ良い。

遠く、霧のかかってよく見えないところから、意識高いひとが「ブルーボトルは?」「猿田彦は?」「っつーかサードウェーブ全般は?」と石を投げてくるのですが、あの辺はちょっと意識高すぎて、ていうか混みすぎで、あまりよく理解してません…行ったことないわけではないが…いや確かに、コーヒーはうまい…深煎りローストでも、モカで酸っぱいのでもなく、浅煎りで香りがあるコーヒー、おいしくて僕も大好きです、大好きですけど、まだ語るほど学べてはいないかな…というかこの手の店は、語れば語るほど語るに落ちるというか……まあせいぜいスタバ語りがお似合いなんすよおれは……正直話題にするには話題性がありすぎる……。入りにくい店内の内装・雰囲気も、てめえ客を選んでんじゃねえぞ、って感じるひとがいたとして、もちろん喫茶店の利用関係も契約だから、店が客を選んで、全く問題ないわけで、でもむしろ、作家としては、店に選ばれなかったものに、そんな炙れたお客さんたちに目を向け耳を傾け、匂いを嗅ぎ、味わい、触っていきたい、そんな極めてサードウェーブ的なぼんやりキャッチコピーで誤魔化して、この話は終わりにしたいですね。

そしてぼくはもちろん、個人店も応援している。個人店こそ応援している。個人店はおいしくてお得であればあるほど短期間で潰れる傾向にあり、たいへん嘆かわしい。潰れないでいてほしい。潰れないでほしいお店は、もうあれです、さっとテイクアウトで買って出てくるとか、定期的に豆を買って支えるとか、ランチ利用で食うもん食い散らかして即刻出てくるとか、居座りばかりでなく、そういう利用の仕方も戦略的にやったほうがいいですよ。そうやってあなたが推しの行きつけ個人経営喫茶からさっさと出てきちゃったような、そんな「支援の日」の居場所としても、このブログの情報を活用していただければ幸いです! 二軒目のカフェでも、喫茶店チェーンならそんなに高くつかない! こともある! ようにもできる!

さあみなさん、我々の手で、ともに喫茶店チェーンを滅ぼしていきましょう、喫茶店チェーン喫茶店チェーン喫茶店チェーン、ああ喫茶店チェーンよ、永遠たれ!

 

※喫茶店チェーン特集なのに「喫」にあまり言及できずごめんなさい。ひとえに筆者が非喫煙者であるゆえであります。なんかよくわかってないし政治力学も難しいので、スルーします! 

喫茶店チェインストライク

家では作業が進まないから図書館に来て勉強するようなやつは甘え、というような指摘が、津村記久子『まともな家の子供はいない』でなされていたような気がしますが、ぼくはよく、「家では集中できなーい」とかいう甘えた理由で、喫茶店や図書館に出かけます。ただ喫茶店の場合、個人経営の喫茶店に行ってコーヒー1杯で3-4時間以上じっとしているのはやや迷惑というか、規模によっては営業妨害というか、もはやそれは暴力ではないかといった非難を免れることができませんので、個人経営の店ではできるだけ1-2時間につき再注文するということを心掛けますが、今度はそうすると僕のほうが経営破綻するわけですねー、経済学の語源は家政学なんだって!

そこで立ち現れてまいりますチェーン店の喫茶店、国家とまではいかなくとも大資本の会社によって営まれており、都市を中心に、非常に広い範囲に分布している喫茶店類喫茶店科喫茶店チェーン亜科に属するチェーン店の喫茶店であります。チェーン店といえば、サービス業だしバイトさんばっかりだし、きっと正社員のはずの(もしかしたら契約社員)店長は過酷な労働環境にいる可能性が高く、今流行りのブラック企業、かもしれず、ホスピタリティはマニュアル化されて、人間の温かみなどない場所です(そうとは限りません)。こんな施設を利用して、よいのでしょうか、わからない、わかりませんが、僕は言いたい、特に何かを食べたいわけでも飲みたいわけでもなく、ただそこにいるためだけに長々と喫茶店に居座ろうとするすべての人類よ、チェーン店喫茶に行かれたい(ヤハクィザシュニナ)。

つまりチェーン店喫茶店であれば「長々居座って申し訳ない」などと思う必要がありましょうか、なくなりましょうか、だって相手は大企業だよ! バランスシート見たわけでもないしわかんないけど、きっとたんまりお金持ってるし、ある程度は座ってていいんじゃないかなあ。こういう店を漫然と利用すれば労働者から人間性を奪うような大資本の商売を利することになり、ブラックバイトやブラック店長やとにかく黒く染められし者たちに対する搾取にあなたも加担することになるんですよってそういう意見は一つの(極端だが素直な)意見として大いにありうるものですが、こうした意見を前提とすれば、そういう悪の大資本は打ち倒されるべきなのだから、我々長時間利用者同盟による粉骨砕身の圧倒的大滞在是即一撃必殺。長い間居座ることによってブラックな労働環境を強いる大資本に対して客としてのストライキを行う、これは、消費者運動なのである! これは店舗利用者の正当な権利行使なのである! 我々の長時間利用ストライキによってブラック労働者は職を失う可能性があるが、さすればブラックな企業がひとつ世から消えるということ、尊い犠牲と見る向きもありましょうが、実際にはむしろ倒れる前にブラックな企業はブラックな態度を改善するかもしれませぬ、であればwin-winならぬwin-win-lose, 企業だけがご苦労をなさることになりますが、努力していただけるのであれば我々もやめましょう、1hに1回コーヒーを買いましょう、そして地球より重いそれぞれの人生の長い時間を、あなたと共に過ごすことを約束しましょう!(帰ってくれ)

 

党首演説終わり、まとめ

チェーン店の喫茶店(カフェ)って、長い時間座っていろいろ読んだり書いたりするのに便利で助かるー!

(喫茶店各位: いつもお世話になっております、ご迷惑おかけしてたいへん申し訳ありません)

 

以下では具体的にチェーン店の喫茶店の比較をしていきます。 

 

ドトールコーヒー

http://sp.doutor.co.jp

値段: 安い

コーヒーの味: コメントしにくい

食べ物の味: ふつうにおいしい

言わずと知れた重鎮、というには身近すぎるし値段も安いし店舗のデザインものんびりしている。別に喫茶店チェーン店界で重鎮として君臨するにあたって威厳は必要ないような気がする。威厳のあるコーヒーショップは(個人経営店にたまにあるけど)入りにくくなるので諸刃の剣なのであろう、この老若男女が居心地悪くならないのんびりユニバーサルデザインこそがドトールの武器なのだ。入り口が狭く見えても入ってみると意外に広い、という店舗がけっこう多い、気がする。平日はひとりで勉強やお仕事に来るひと以外に、保険勧誘とかしているビジネスマンもけっこう来ている。おいおいその契約大丈夫か、とかこっそり聞き耳立てながらあなたの作業が進められる。コーヒーの味については何か書いて名誉毀損訴訟を起こされたらたまらないから何も言わない。サンドイッチやミルクレープはふつうにおいしいし値段も程良いと思う。

 

カフェドクリエ

http://www.pokkacreate.co.jp

値段: 安い

コーヒーの味: なんとも言い難い

食べ物の味: ふつうにおいしい

これはフランス語ですか? グーグル翻訳アプリにアクサンテギュつけるの面倒だったのでつけないまま「cafe de crie」と入力してフランス語➡︎日本語の翻訳をしてもらったら「コーヒー叫びます」と出た。絶対に違うと思う。アクサンテギュ(アルファベットのうえについてる点)って大事なんですね。ともかくこの「コーヒー叫びます」ですが、個人的には勝手にドトールコーヒーのライバルだと思っている店です。価格帯も味もラインナップも店舗デザインもすべてが似ている……。カフェドクリエだとドトールコーヒーにはないパスタが食べれるのが売りになるだろうか。コーヒーの味は同じくコメントしにくい感じだけど、こちらではたまにレシートでのコーヒーのおかわりが安くなるサービスをやっています。長居するときはうれしいですね。サンドイッチがトーストサンドになっていて、いろいろ種類があって面白いよ。食べ物、飲み物共にシーズン限定のメニューの数が多いイメージ。

 

ベローチェ

https://chatnoir-company.com/chatnoir/html/brands/brands_veloce.html

値段: 安い

コーヒーの味: うーーーーん

食べ物の味: 実はけっこうおいしい

ベローチェというと一時期は住処を追われた喫煙者たちのアジールとして知られていましたが、最近は分煙店舗の禁煙コーナーも広くなり、非喫煙者も利用しやすくなりました。シャノワール(フランス語でクロネコ)という会社のお店で何年かに一回ふちねこというかわいいグッズを配ってくれる、かわいい。ドトールやコーヒー叫びますと比べると店舗数は少ない気がしますが、値段はかなり抑えめで利用しやすいです。店内の配色がドトール、カフェドクリエと比べると暗めになっていて落ち着きがあり、比較的男性のおじさま層が多いイメージです(筆者は「男の子は青、女の子はピンク」の呪いをここにまた見るものである)。コーヒーはまあ、まあ、200円とかなんで、ね、という感じですが、サンドイッチやケーキはけっこうおいしいです。サイゼリヤみたいな感じで、シーズンごとの入れ替わりとかほとんどせずにシンプルに定番だけを売る業態で、味をある程度保ったままコストダウンを図ってるんだと思われます。ぼくはピーナッツバターサンドが好きです。飲み物はいっそのことティーバッグで準備してくれる紅茶のがおいしい、が、コーヒーのが安い。

 

サンマルクカフェ

http://www.saint-marc-hd.com/saintmarccafe/

値段: 安い

コーヒーの味: 言葉にならない

食べ物の味: ふつうにおいしい

低価格帯コーヒーショップ業界に颯爽と現れた風雲児、近年めきめきと店舗数を増やす、店内でパンを焼く、その名も、サンマルクカフェーッ! というのがぼくのなかにあるイメージですが、サンマルクカフェ自体は昔からありますよね。なんかでも最近、店舗数が増えて、どこ行っても見かけるようになった気がする。サンマルクカフェといえばチョコクロであり、レジに並ぶ途中にたくさん配置されているパンたちなのですが、コーヒーが上記3店舗に負けないくらい安く(味には一身上の理由から触れたくない)、店内にふかふかの椅子があることも多く、長居しやすい。店舗によるのはわかっているけど机が小さいことが多いのは居座りには減点ポイント(居座られたくない企業の目論見を打ち倒すためにみなさん我慢してください)。あとはなんとなく、店員さんがとりわけ忙しそうなことが多い気がしている。つまりむしろ静かなる消費者ストライキで長時間席を埋めてアルバイトさんのお仕事のペースを落としてあげるべきかもしれない。パフェとか、ケーキ以外のソフトクリームを使ったデザートが豊富で、「デニブラン」なるデニッシュ生地のうえにソフトクリーム載せたやつが、かなり甘くて、とても甘い味が欲しいときはおいしい。「デニブラン」、コメダコーヒーのシロノワールとかココスのココッシュを彷彿とさせる商品である。どれが先とかわからないけど人権を守ったうえでみんなで切磋琢磨して良いものを作って欲しいです!

2018年追記: その後の調査で、店舗によってはSサイズのコーヒーをメニューから消すという新しい手法でもって客単価を上げている場合があるということがわかってきました。でもどこでもレシートでお代わりできるシステムがあることもわかったので許してあげてください。

 

以上、ひとまずのところ、コーヒー1杯あたりの価格250円以下で厳しい戦いを繰り広げる4つのチェーン店をご紹介しました。どの店も示し合わせたかのように店名がフランス語なのはなぜ。ひと昔前に日本に流通していたフランスのイメージに由来するんだろうか。いまはコーヒーより紅茶のイメージのが強いですよね(ってぼくのなかだけなんだろうか)。

 

次回は、よりハイクラスなコーヒーを体験できる以下のチェーン店を取り上げる予定です! あれ、これ続くの!? 続きます! また見てね!

 

番外編ではあなたの町のドーナツショップも出る予定だよ!

 

ちなみに、本記事ではカフェと喫茶店の区別を曖昧にしていますがチェーン店の経営会社的にはフルサービス(席まで注文取りに来てくれる)かカフェテリア方式(カウンターで注文して自分で席までもっていく)かで区別されることもあるようですが個人経営だと中間の店(カウンターで頼んで席まで持ってきてくれる)もあるしなんともいえないし英語と日本語ってことでいいんじゃないでしょうか!(フランス語?)

welcome to ようこそ 旅立とう

ここはジャパリパークではないし、僕はサーバルキャットのサーバルではない。かばんでもない。きょうは帽子も被っていないし、ポケットにお財布を入れて、晴れた日に電車に乗っている。でも実はリュックは背負っている。混んでいる電車ではリュックは前で持つのがマナーだけど、今はそこまでは混んでいない。バスに乗らなくとも目的地に着けそうなことはスマホが教えてくれる。定期券の範囲内の乗り換え駅についたので、この筆先は一度止まる。

 

これより定期券の範囲外へと出る。8分後にまた乗り換え。この春からまた大学院に通うことになったので、とりあえず僕はまた学割で定期券を買えるようになった。きょうは学割定期の範囲内で乗り換えて、学割定期の範囲外へ向かう。休日のちょっとした冒険というほどのものでもないお出かけです。冒頭でジャパリパークの名前を出したのは昨日の夜にミュージックステーションけものフレンズというアニメの主題歌が歌われるということでミュージックステーションとか普段見ないし別に絶対見届けたいというほどの情熱もなかったのだけどちょうど教えてもらってせっかくだったので、見た。サーバルちゃんたちの歌はあんまり上手じゃなかったような気もしたけどそれでも歌を聴いていたらアニメのけものフレンズが面白かったなあということを染み染み思い出した。ミュージックステーションの説明だと、けものフレンズの内容はかばんちゃんが旅する成長物語みたいな感じだった。間違っていない。でもそれだけというのでもない、というか、けものフレンズの特有の面白さの抜け落ちた内容説明であるような気もした。でもけものフレンズってどう面白いのかよくわからない。何が面白かったんだろうなあ。乗り換え。

 

もうすぐ目的地に辿り着いてしまうのだけど、サーバルちゃんとかばんちゃんの旅の目的地ってどこだったんだろう。最初は図書館で、その次は港で、その次は別の島? 図書館では料理をするのです。なんで。われわれは賢いので。いろいろ、ぜんぜん、わっかんねえよ、っていう会話が続くのだけど、ボケ倒す感じのリズムは楽しい。僕は激しい漫才的な笑いを見ていると時々ツッコミ役の勢いある言葉に怯んでしまったりすることがあるので、ツッコミ不在で、自分が勝手に頭のなかで好きなタイミングで好きな程度でツッコミができるのは気が楽なのかもしれない。でもフレンズたちがボケる(?)たびに、視聴者として必ずしもツッコミいれてるわけではなく、ボケの川に流されてそのまま帰ってこれなくなるというか、思えば遠くへ来たものだ、とか、ひとしきりツッコミそびれて流された先の小島から自分の遍歴を振り返ってみるのを楽しむこともある。こういう営みは、意志の力は弱いのかもしれないけど自分では思いもつかないような場所に辿り着くというロマンチズム的なるものがある。これぞ旅情? でも普通、旅をする上では綿密に予定を立てなければいけない。じゃないと電車にもバスにも飛行機にも乗れない。目的地の最寄駅に到着。

 

スリランカ紅茶のお店でお昼を食べようと思う。ひとりで。ここに来るまでに一度、書店に引っかかる。読みきれないほどの本を買うのはお金がもったいなくていけないですね。でも本屋に来ると、買おうと思っていなかった本に手が伸びるのがおもしろい。料理が出てきた。

 

料理を食べ終わった。紅茶が付いている。紅茶のお店だからそりゃそうなのだけど。きょうは暖かい日だけど温かい紅茶がおいしい。暖かいなかで温まる。スコーンとかも注文したい。ランチ後に注文できるんだろうか。紅茶を一口。おいしい。紅茶というとイギリスで、イギリスはインドのほうを支配したりしたので、インドでは紅茶が、えーっとでも、イギリスが紅茶なのはインドを支配したからなのかもしれず、因果関係、たまごにわとり、もうすぐイースター、わからないのです。ともあれ紅茶の葉も大海を渡って世界中を行き交っていたしいまもそうしているんですよね。僕より世界を見ている葉っぱ。でももう死んでしまっているのかも。イギリスで大航海、というイメージがいま強くなるのは、このあいだ上野の大英博物館展に行ったからで、大英博物館展によると、ダーウィンは30代前半くらいで自然にある未知のものを探しに世界一周の大冒険に出たみたいだ。それでカメとか見つけたりとか、進化論を思いついたりとか。ダーウィンの隣には、冒険とかに出ないまま、勉強をして進化論みたいなのを思いついた人のことも書いてあった。でも名前を忘れてしまった。ごめんなさいイギリスの偉人。どちらにせよ、机の上でも船の上でも同じことを思いつくというのは不思議だ。小説や文章は、机の上でも書くことがあるし、いまみたいに電車に乗りながら、紅茶を飲みながら書くこともある、あ、紅茶を飲んでいるときも、「机の上でやっている」に含まれるのかもしれない。つまりダーウィンは海の上をまだ見ぬものを求めて旅をして、机の上でその成果をまとめた。ええっと、この文書は、どこに向かってるんだ?

 

実は予定があるのは夕方以降だから、今日はちょっと早く家を出てきただけで、お昼を食べたあとにはまた本屋を少し見て、チェーン店の喫茶店にきた。 ノンカフェインのルイボスティーを頼んだ。まだ口をつけていないながら、さっき飲んだ紅茶のがずっと美味しいんだろうなあっていうのがわかる。一口飲んでみた。まあルイボスティーだしジャンルは全然違う、でもなあ、お茶代というより席代。紅茶、さっきのはなかなかよかったなあ。結局スコーン食べなかったからまた行きたいなあ。

 

イギリス人は選挙のときだけ自由なのであり、そのあとは奴隷だ、ってルソーが言いやがったみたいに、ひとは旅程を立てるときだけ自由で、そのあとは奴隷なのかなあ。でもダーウィンもサーバルも、そんな風には見えないね。途中でいい発見もあったみたいだ。僕もできればそのように生きたいものだ。ダーウィンやサーバルやかばんちゃんみたいに。

 

Kindleで買って読まないままになっている光文社古典新訳文庫のダーウィンの進化論とか、読まなきゃいけないな。

(そう言いつつ、Kindleを開けばついつい「バーナード嬢曰く」などを読んでしまうのであった)