良い日、ころころ

良い日には旅立たずに転がっています

30日間海外ドラマ一周

[抄録]

この記事には

  1. 私立探偵ダークジェントリー
  2. アンブレイカブル・キミーシュミット
  3. プリーズライクミー
  4. マーベラス・ミセス・メイゼル

を見た感想がネタバレなしで書いてあります。

 

はじめは、ハリーポッターの映画版を全部見ようと思って、Huluの無料お試し30日間をやってみた。でもハリーポッターは全部見られなかった。映画はなんとなく、再生するときに緊張するからかも。お茶を入れて、お菓子を用意し、トイレに行っておき、万全の準備を整えてからでないと見てはいけない気がする。別に映画館ではないから途中で止められるのにね。もっと気軽に再生ボタンを押せばよかった。(そして死の秘宝を未だに見ていない、死ぬまでにはどうにか。健康に長生きしたい。“健康に”とこだわるのは差別的だろうか、とすこし悩む)

 

その次に、Netflixのお試し30日間がやってきた、いや、どっちかというと会いに行った。Netflixで見てみたかったのはスタンドアップコメディの動画で、どういうものなんだろうと思ってたけど、日本語に翻訳されているものが少なくて困っていた。Netflixにはいっぱいある、ということで、いっぱい見た。おもしろいのもいまいちなのもあった。スタンドアップコメディ、こういう感じかあ、なるほど。そしてそのあとはせっかくなのでフルハウスの続編であるフラーハウスを見て、そのあとはNetflixオリジナルドラマの開拓に走った。おもしろいのもいまいちなのもあった。このうちのおもしろかったものを記録しておこうというのが今回の趣旨です。

 

私立探偵ダークジェントリー
Dirk Gently’s Holistic Detective Agency

https://www.netflix.com/jp/title/80119426

現場に残された指紋とか目撃証言とかそういう些細なことは気にせずに、もっと全体論的に物事を見ながら事件を解決しようとする(しようとしているのか…?)“全体論的探偵”が主人公(なのか?)のドラマです。シーズンまるごと1つかけて事件が1つしか解決しないという作りなので、気軽に見られるオムニバス形式を期待してみるのはやめてください。でもおもしろいよ。シーズン1-1話の大混乱ぶりはほんとうに素晴らしい。もういっそ解決してほしくなくなる。ダグラス・アダムスSF小説が原作だそうですが、原作とは人物もストーリーもかなり違っているらしいです。原作の翻訳も最近でました(読みたい)。オカルト的な要素? などもあります。お好きな方はぜひ。

残念ながらシーズン2までで製作中止になってしまったようですが、続編を求める署名集めなどもネット上で行われております。(でも実はシーズン2より1のがおもしろい、なんかテンポがいいというか盛り上げ方がうまい)。

 

アンブレイカブル・キミーシュミット

Unbreakable Kimmy Schmidt

https://www.netflix.com/jp/title/80025384

カルト教団に捕まって青春時代ずっと地下に閉じ込められていたキミーがニューヨークの街で再出発しようとするドラマです。でも何をしたら再出発になるんでしょうね。というような。設定は映画の「ルーム」を彷彿させますが、こちらはもっとライトなコメディタッチです。現在シーズン4まであって、シーズンを重ねるごとにキミーが捕まっていたという事実が薄まっていき、むしろキミー以外の濃い登場人物たちの活躍がフィーチャーされていくような……が、シーズン1はあくまでキミー中心だし、なんだか不意にグッとくるシーンも挟まりますよ(2以降も楽しいよ)。失われた日々はあれど、みな今と未来を生きるのです。ちなみにキミー以外の濃い登場人物たちの内訳は、芸能の世界での成功を夢見る黒人ゲイルームメイト、ボロアパート管理人でありながら戦うヒッピーのおばさま、金持ちの男と結婚したネイティブアメリカン筋のお姉さん、などなど。キミーのトラウマのありかたとかに疑問を感じることもないではないというか、どこまで茶化していいかの境界線が難しく、気持ちが混乱することもありますが、基本はハイテンションの楽しいドラマです。オープニングテーマもすき。

 

プリーズライクミー

Please Like me

https://www.netflix.com/jp/title/80008187

彼女にあなたはゲイと指摘され別れを切り出されてアイデンティティが揺らぐなか、離婚した両親のあいだでのドタバタにも巻き込まれていく、いちおうコメディ?のドラマです。Netflixオリジナルではなくオーストラリアのドラマらしい。抱腹絶倒とかはまったくなく、妙なリアル感の漂う独特のテンポで話が進む。主人公のジョシュは皮肉屋だし、主人公の親友はぼんやりと浮気を重ねるし、ジョシュのお父さんは若いタイ人と再婚してて自信過剰だし、お母さんは情緒不安定で自殺を図るし、みんなそれぞれ致命的にやばいところがあるのですが、なんとなく憎めない。ジョシュの恋愛模様のなかに出てくる「好みだし好かれているし付き合わない手はないはずなのに話が合わないイケメン」とか、すれ違い方がやけにリアルです……。ローテンションで人間関係の微妙な距離感、理屈じゃない感じが描かれ、力なく笑ってしまいます。しかしそもそもコメディなのか謎ではある……でもシーズン2の、ジョシュとお母さんが一緒にタスマニア島でキャンプする話はよかった。現実はおもくてゆるい、ということを感じさせてくれる。ふしぎ。

 

マーベラス・ミセス・メイゼル

The Marvelous Mrs. Maisel

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B06VXZ6J75

これはNetflixではなくAmazonプライムビデオです(あれ? でも最近見たなかではイチオシなので未来の自分に今の感動を伝えたい)。アッパーミドル階級の奥さまが夫との関係にぐるぐると悩みながらスタンドアップコメディをかまします。毎回主人公のミッジの身の周りでいろいろな出来事があって、それを後半の圧巻のスタンドアップコメディのシーンで昇華していきます。ミッジの才能を見込んでスタンドアップコメディの道へと引き込んだマネージャーが「あんたはもっと強い女のはずだろ!?」と感情をぶつけるシーンや、大先輩の大人気女性コメディアンに「あなたそのままやってたらだめ、女が成功するのに必要なのはね……」と説教かましてくるシーン、これらへの主人公ミッジの応答の仕方が、すごくいい……! 感情を押し殺して耐えるでもなく、しなやかに女性らしくかわす(笑)のでもなく、ミッジはミッジとして返事している感じがしてとてもすばらしいです。シーズン1のオチもしかり。

 

そう、でも、海外の、映画ではなくてドラマを見ていると、あまりにもストーリー畳む気なさすぎる展開が続き、それが本当に畳まれずに放置されたまま、シーズンが終わる、どころか、ドラマ自体の製作が終わる、という現象が、かなり多く観測できる。ビジネスな理由なのだろうけど、あまりにこういう経験が続くと、オチがないことへの耐性が付いてきて、そもそも物語ってオチなければいけなかったんだっけ……別にどっちでもいいんじゃ……? みたいなやばい感性が育ってくる、いや、やばいとか言いつつ、ブーメランですが……オチってなに……それは、生涯を幸せに暮らしましたとさ、おしまいおしまい、とすることなのかなあ。しかし多くの人の人生にオチはないではないか? いつ終わるかわからないままいまを生きるのではないか? これはアメリカドラマ(オーストラリアも)が現代人の生そのものであることを指しているのであろうか? ああ競争社会……新自由主義……よくわからなくなって畳めなくなったので、この記事はここで打ち切ります。ご精読ありがとうございました。再開して欲しいという署名が集まったら続きを書くかもしれません。そのときはどうぞまたよろしくお願いします。