良い日、ころころ

良い日には旅立たずに転がっています

日本のドラマ

    アマゾンプライムの動画視聴サービスの海外ドラマのレビューを見ていると、「この海外ドラマはほんとうにおもしろい、日本のドラマでは考えられないプロット!」「予算がやはりぜんぜん違いますね、いつになったら日本のドラマはこれに追いつくのか……」とか書いてあって、日本のドラマがすごい勢いでサンドバック(グ?)にされているのです、しかし、日本のドラマってそんなにつまらないっけ? そう思い、今年は例年よりも、まじめに日本のドラマを見てみました。結果、おもしろいのも、おもしろくないのも、ある、という当たり前の事実にあたるも、全体の傾向というのは統計処理とかできないので正確にはわからない……、以下では、みたなかでおもしろいドラマがどれだったか述べます。

 

 

 

 

  • 獣になれない私たち
  • リーガルV

 

    そしていうほど見ていなくてごめんなさい、ちょっと見てさよならしたり、いちおうさいごまで見たけど、っていうのは抜かしております。ネタバレはそんなにない。まったくなくはない。

 

    話題作の逃げ恥がちゃんと見てみたらなんだかんだでとても面白く、何かアンナチュラルというのが話題になってるなあと思ったら逃げ恥の脚本のひとであった。野木先生すごい。

    アンナチュラルは第1話が一番おもしろいんじゃないかってくらい掴みがよくて、そして闇を抱えた職場の仲間たちがけっこうほんとうに闇を抱えているんだけども、生きていく上で必要な寛容のルールみたいのはしっかり持っている、そして仲間たちでわいわい盛り上がるようにみえてもみんな仕事上の付き合いで、そんなに仲良くもないのか?? でも仕事上の付き合いだからこそのバランスの関係もあったりなんかしてねー! この辺、とてもよかったです。ゆめなーらばーどーれほどーよーかったでーしょーう、法医学ドラマでミステリーなのですが、人の死がこんなにも自然な不自然として溢れ、かつ尊厳に満ちているミステリーというのも珍しいと思う。考証がどのくらいしっかりしてるかはわかんないけど、疫学みたいなのすごいなって思ったり、火葬に対する見方がなんとなく変わったりします、見ると。

 

    バイプレイヤーズは、シーズン1がアマゾンで公開されていて視聴していたんです。あほらしーと感じつつ、でもなんか、ほっとした。劇中での役柄と、最後の飲み会シーンでの出演陣の性格や関係性とのギャップがなんとも絶妙……。シーズン2は、ずっと無人島生活するのかと思っていたら1話でそれが終わって、あとはのんびり朝ドラエキストラ撮影になった。毎回豪華ゲストが出るアドリブパートあるし、もうドラマ見てるのかバラエティ番組見てるのか恋愛リアリティ番組見てるのかわからなくなる。そして、大杉漣さんが大変悲しいことに撮影中に亡くなってしまうことで、この現実と劇中の混線は望まれぬ形でさらにすごいことになってしまいました。劇中と同じように生き続けてくれればよかったな、ほんとうに業界で愛されていたひとなんだね、僕はもちろん知り合いではないけど、知り合いみたいになるよこんな番組を作られてしまうと。役者さんとして特殊な業界を生きていくのって不思議なことだなと考えさせられる。

 

    ダンディな上司とデキる後輩に同時にアプローチされて、オレってば、一体どうなっちゃうの!? というBLなのかホモソーシャルなギャグなのかそれだけでは判別できないシチュエーションを、BLともホモソーシャルジョークとも違う、少女漫画ともトレンディドラマともなんかちょっと違う、独特の喜劇に仕立てて昇華しきった快作でした。最初はこれポリティカリーなコレクトさ大丈夫なの? って不審に思いながら見てたんですけど、そんな懸念はみているあいだに吹っ飛びました……、というか、ポリティカリーにコレクトではない春田という主人公の気付きに関する物語であるがゆえに、多くの人に届く作品になっている……。あまりに話題になりすぎたし食わず嫌いする理由も多すぎだし見てない人も多いんじゃないですか、でもね、ちょっとでも気になるなら見たほうがいいと思う、男女問わず勧めたい、いまアマゾンプライムビデオで見れるし。まだ見れるよね?

 

    おっさんずラブの後に始まった、ものすごく働かないヒモと、その彼女のあいだのどたばたコメディです。ほんとうにヒモメンの主人公がひどすぎて、働かないんです。働かない男をこんなに陽気にエンパワメントする作品、ほかにありますか。こんなにエンパワメントする必要あるのか?? あまりに明るくあっけらかんと働かない主人公が、ところどころ謎の迫力がある台詞を仕掛けてくるせいで、見ている人の大半が、このドラマで何が起きているか理解できないんじゃないかと思う、僕もよくわからない……。ただ重要なのは作中のこの主人公カップルがもう滅茶苦茶にラブラブなんです……ヒモなんだけど…でもそれは2人が納得した形…ですらないんです! 2人はぜんぜん納得できてない…でもなんでかわかんないけど、お互い歩み寄りしてんのかしてないのかよくわからない、でも闘争を繰り返しながらラブラブであり続ける……そして意地でも働かない……。男性にかけられたジェンダーな呪いを解いてくれる! みたいな物語が志向されていたのかもしれませんが、できたのはこれです、これ、このしょうもないドラマです。でもこのしょうもなさこそが、このある種の失敗こそが、このドラマを魅力的にしている気がする、女性をさておいて男性をエンパワメントする物語なんてだいたいクソなんですけど、このしょうもない失敗が、正直さが、男の小賢しさを封印するのだ……。見ている自分が苦笑しているのか爆笑しているのかわからなかった……時代がまだ追いつけないカルトドラマ。

 

    こちらは流行りましたね! 竹野内豊が父親としてわりかしアウトな発言を前半に繰り返し、ううーん、おいおい大丈夫かー? と思っていたのですが、全体としては仕掛けと企みのある安定したプロットでした。視聴者の頭に疑問点が生じたとしてもそこにいちおうフォローがある場合が多いのだけど、そのフォローで本当に正当化されるのかされないのか、そんなレベルの不思議なやばさが各所に潜んでいる気もする。ギャグに変に力入っていて、最初は「滑っているのでは……?」とクスリとも笑わないで思っていたはずなのに、尻上がりでだんだんと、慣れてくるとクセになるような、そんなネタが多い。演技面では主演の綾瀬はるかがすごく存在感あってお見事でした。

    原作の漫画も拝読し、たのしく読みましたが、このドラマ実は原作を大切にしながら、すごくうまく工夫して映像化してたんですねえ、と感じさせられた。後半戦もよかったよ! 高校生カップルの平和がすごかった。

 

  • グッド・バイ

    わらっちまうほど! ゆーめーみーがーちーなーのさっ! の主題歌が印象的なこちらのドラマ、今年一番の大穴です! 最後まですごくおもしろかった! 結婚してるけど複数の女性とおつきあいしている男が、太宰治の未完の小説「グッド・バイ」を参考に、主人公の女性に協力してもらいつつ、別れ話をしていくお話だよ! どうやらそういう原作の漫画があるようで、面白そうなのだけど、いまのところ読めていない……。それにしても、この複数の女性と付き合う男性のモテ方が、わりあい良い、二股どころじゃないし最低なのだけど、ぜんぜんマッチョじゃなくて博愛主義で、やたら優しさと愛に溢れている……。それは弱さでもあるのだが……。お話の進行としては、お付き合いして前に進むのではなく、お別れして前に進んでいくのが新鮮ですよ。「自分探し系恋愛喜劇、ややエモ」という感じで、めちゃくちゃ人に勧めたいけど、どうすれば安くまとめて観れるのかよくわからない。実はぼくも1話分見逃していて今もまだその事実を振り返ると身悶えしてしまいます。

 

  • 獣になれない私たち

    なんか知らんがタイトルロゴが異常にダサいこのドラマは逃げ恥でアンナチュラルな野木先生脚本の注目作、ということで見た。青春若者群像劇に時事問題がバンバン絡まる。これ、1話のパワハラ描写がやばいくらいしんどくて、もう無理でしょこの世界……みんなで死ぬ? と思った。正直あそこだけで視聴やめようかと思うレベルでしたが、なんだかんだ最後まで見た、しかし引っ張られて見てはいたのだけど、意外と僕には刺さらなくて、ともすると新垣結衣がやってる主人公にちょっとイライラもしてしまった、なんでだろう、いい人なんだけど……。松田龍平界隈の福島要素もすこし浮いているというか、敢えて挟み込まれたあざとさが拭いきれなかった気もするし、会計トラブルをめぐる正義の物語もピンとこなかった。介護トラブルも、愛だけではこんなにうまくいかないし、この描写を見て救われる介護者よりも辛くなる介護者のが多いと思うって考え込んじゃったし、毎週欠かさず見ていたのに、なんか振り返るとパッとしないんですよね。理性と感情の対比がずーっと続くけどそこに共感できないからかな? そんな相反するものなのかな、理性と獣は。社会で従順に頑張ることが理性的で、利己的に動くのが自由だってことなのか? そんなダイコノミーで考えても意味なくない? あれこれ意味ないよねってドラマなのか……? よくわからない……しかしたしかに、今時の若い現役世代の世界観こんなんかもねー……って同世代か……。ただ、もやもやを残したいと思って作っているところもあるドラマだと思うので、もやもやしている僕はこれで正しいのかな。スナック菓子みたいなドラマだけでなく、こういうのがあってもいいよねとは思う。

 

  • リーガルV

    そしてスナック菓子ドラマの最たるものがこの記事の最後を飾るリーガルVです。米倉涼子主演の裁判モノですが、第1話から痴漢冤罪事件に取り組み、昨今の議論をぜんぜん踏まえないで作って地雷を踏みまくるヤバいドラマです。現実でセカンドレイプする人が増えそうなステレオタイプは勘弁してや……、ぎりぎりセーフのつもりだろうけどギリギリアウトです……。女パワハラ上司とか、テーマの選択がなんかもう、製作陣が男性だああああっていうのがありありとわかるどうしようもなさで、たまにゲロ吐きそうになります! でも、しかし、このドラマ実はすごくテンポがよくて、エンタメをわかってる作りなんです……いやおもしろいの……悔しいけど…悔しく感じないように作ってくれよ頼むよ!!! 真面目なこともちょっとはちゃんと考えてよ!!! 弁護士資格がないけどとにかくすごい主人公が、なぜか電車オタクの鉄ちゃんなのですが、鉄ちゃんであるという設定に、ほんとうに、ほんとうに何の意味も込められていなくて、ただ鉄オタなんです……。よくわからない刑事ドラマを愛好しているのですが、それも無意味なんです……。こういうナンセンスは好きだよ。主人公、法律家として優秀な設定だけど優秀さが伝わってこないし、最終回を見終わった後にはそこはかとない虚しさも残った。これほんとバカなドラマというか悪ノリスナック菓子だな!!! でもついダイエットしようという方針に背いて食べてしまう魅力はあるの。ありました。

 

    さて2018年も、もう12月、番組欄は着々とその日限りの特番で埋め尽くされていますね。大切なひとへのクリスマスプレゼントは用意したかな? 来年も面白いドラマが見れるかな? 見れるといいね! 日本のドラマも海外ドラマもいいね! (マーベラスミセスメイゼルのシーズン2すごくよかったです、プライムビデオで見れるよ)

    それではみなさま、良いお年を! ハッピーホリデー! トランプ政権でも、ハッピーホリデー!

平成最後の夏、おわりましたね

     平成最後の夏、おわりましたね。涼しくなりましたね。平成最後って言われると、僕は平成元年生まれだから、感慨深いような、でも、別にだからなんなんだろ、っていうような、複雑な気持ち、もはやどこか、居心地の悪い気持ちにすらなります。勝手に時代を区切って盛り上がられても、僕の暮らしぶりの変化と相関がないし。

     今年が平成最後の夏になったのは、このまえ、今上天皇が引退したいなあ、っておことばを述べたからであり、我々が平成最後の夏を「 #平成最後の夏 #海 #花火 #ありがとう平成 」みたいに平和ボケしたエモい感じでカウントダウンできるのは、平成の終わりが今上天皇崩御を意味しないからですよね。昭和のおわりが自粛ムードに包まれたって話と比べるとえらい違いだと思います。もはや、年号の切り替えは東京オリンピックの前座、みたいな空気すらあるし。平成最後の夏のユルさ半端ない。ひしめき合うサブカルチャーサブカルチャーカルチャー。そしてはじまる平成最後の秋と冬と春。やはり、だからなんなんだという気持ちと、エモさが混在して、目が回りそうです。平静を保って過ごしたいと思います。

     西暦もいつか終わるのかな。この夏に見に行った縄文展では、日本の縄文時代は紀元前2000年か3000年から始まって、紀元前何百年まで続くって言ってた気がするよ。長いねえ、縄文時代ローマ帝国より江戸幕府より長いよ。まあ時代の区切り方の問題とはいえ、千年以上あるなら、かつての人々も、意外と僕たちと変わらない水準の生活をしていたのかな? それとも、僕たちの生活って何十億年と人類史が続いてもなかなかないような異常なものなのかな? 健康で文化的な最低限度の、異常な生活。そう、昭和と違って平成は、モノで溢れた豊かな時代だからね。うふふ。豊かさと引き換えに失われた人々の繋がり……うふふ。でもそれって誰が豊かになったのかな? いや僕もそこそこ豊かです。猫と夜中にこんなブログを更新できるくらいは。しかし、平成っ子の生活は、いつダメになるかわからない、薄氷のうえの泥舟ライフ。年金がほしい(唐突)。

    平成最後の夏が終わり、平成最後の秋と冬がやってきます。エモくてもエモくなくてもいいんです。地を這って現実を生きましょう。

    かといって、平和な日常を礼賛するつもりもないぜ。おれたちはこれから、奪われた分を取り返してやるのさ。誰から? いまドキッとしたそこのお前、お前のあったかい懐からさ!

    そしたらみんなで焼肉に行こう! とりあえずビール! でもこんな繰り返しもうんざりだから、平成が終わったら、みんなで見たこともないようなヒュッゲしよう。ありがとう未来。

    これからは、AIともドローンとも仲良くやっていくつもりだよ。うまくいくといいな。

30日間海外ドラマ一周

[抄録]

この記事には

  1. 私立探偵ダークジェントリー
  2. アンブレイカブル・キミーシュミット
  3. プリーズライクミー
  4. マーベラス・ミセス・メイゼル

を見た感想がネタバレなしで書いてあります。

 

はじめは、ハリーポッターの映画版を全部見ようと思って、Huluの無料お試し30日間をやってみた。でもハリーポッターは全部見られなかった。映画はなんとなく、再生するときに緊張するからかも。お茶を入れて、お菓子を用意し、トイレに行っておき、万全の準備を整えてからでないと見てはいけない気がする。別に映画館ではないから途中で止められるのにね。もっと気軽に再生ボタンを押せばよかった。(そして死の秘宝を未だに見ていない、死ぬまでにはどうにか。健康に長生きしたい。“健康に”とこだわるのは差別的だろうか、とすこし悩む)

 

その次に、Netflixのお試し30日間がやってきた、いや、どっちかというと会いに行った。Netflixで見てみたかったのはスタンドアップコメディの動画で、どういうものなんだろうと思ってたけど、日本語に翻訳されているものが少なくて困っていた。Netflixにはいっぱいある、ということで、いっぱい見た。おもしろいのもいまいちなのもあった。スタンドアップコメディ、こういう感じかあ、なるほど。そしてそのあとはせっかくなのでフルハウスの続編であるフラーハウスを見て、そのあとはNetflixオリジナルドラマの開拓に走った。おもしろいのもいまいちなのもあった。このうちのおもしろかったものを記録しておこうというのが今回の趣旨です。

 

私立探偵ダークジェントリー
Dirk Gently’s Holistic Detective Agency

https://www.netflix.com/jp/title/80119426

現場に残された指紋とか目撃証言とかそういう些細なことは気にせずに、もっと全体論的に物事を見ながら事件を解決しようとする(しようとしているのか…?)“全体論的探偵”が主人公(なのか?)のドラマです。シーズンまるごと1つかけて事件が1つしか解決しないという作りなので、気軽に見られるオムニバス形式を期待してみるのはやめてください。でもおもしろいよ。シーズン1-1話の大混乱ぶりはほんとうに素晴らしい。もういっそ解決してほしくなくなる。ダグラス・アダムスSF小説が原作だそうですが、原作とは人物もストーリーもかなり違っているらしいです。原作の翻訳も最近でました(読みたい)。オカルト的な要素? などもあります。お好きな方はぜひ。

残念ながらシーズン2までで製作中止になってしまったようですが、続編を求める署名集めなどもネット上で行われております。(でも実はシーズン2より1のがおもしろい、なんかテンポがいいというか盛り上げ方がうまい)。

 

アンブレイカブル・キミーシュミット

Unbreakable Kimmy Schmidt

https://www.netflix.com/jp/title/80025384

カルト教団に捕まって青春時代ずっと地下に閉じ込められていたキミーがニューヨークの街で再出発しようとするドラマです。でも何をしたら再出発になるんでしょうね。というような。設定は映画の「ルーム」を彷彿させますが、こちらはもっとライトなコメディタッチです。現在シーズン4まであって、シーズンを重ねるごとにキミーが捕まっていたという事実が薄まっていき、むしろキミー以外の濃い登場人物たちの活躍がフィーチャーされていくような……が、シーズン1はあくまでキミー中心だし、なんだか不意にグッとくるシーンも挟まりますよ(2以降も楽しいよ)。失われた日々はあれど、みな今と未来を生きるのです。ちなみにキミー以外の濃い登場人物たちの内訳は、芸能の世界での成功を夢見る黒人ゲイルームメイト、ボロアパート管理人でありながら戦うヒッピーのおばさま、金持ちの男と結婚したネイティブアメリカン筋のお姉さん、などなど。キミーのトラウマのありかたとかに疑問を感じることもないではないというか、どこまで茶化していいかの境界線が難しく、気持ちが混乱することもありますが、基本はハイテンションの楽しいドラマです。オープニングテーマもすき。

 

プリーズライクミー

Please Like me

https://www.netflix.com/jp/title/80008187

彼女にあなたはゲイと指摘され別れを切り出されてアイデンティティが揺らぐなか、離婚した両親のあいだでのドタバタにも巻き込まれていく、いちおうコメディ?のドラマです。Netflixオリジナルではなくオーストラリアのドラマらしい。抱腹絶倒とかはまったくなく、妙なリアル感の漂う独特のテンポで話が進む。主人公のジョシュは皮肉屋だし、主人公の親友はぼんやりと浮気を重ねるし、ジョシュのお父さんは若いタイ人と再婚してて自信過剰だし、お母さんは情緒不安定で自殺を図るし、みんなそれぞれ致命的にやばいところがあるのですが、なんとなく憎めない。ジョシュの恋愛模様のなかに出てくる「好みだし好かれているし付き合わない手はないはずなのに話が合わないイケメン」とか、すれ違い方がやけにリアルです……。ローテンションで人間関係の微妙な距離感、理屈じゃない感じが描かれ、力なく笑ってしまいます。しかしそもそもコメディなのか謎ではある……でもシーズン2の、ジョシュとお母さんが一緒にタスマニア島でキャンプする話はよかった。現実はおもくてゆるい、ということを感じさせてくれる。ふしぎ。

 

マーベラス・ミセス・メイゼル

The Marvelous Mrs. Maisel

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B06VXZ6J75

これはNetflixではなくAmazonプライムビデオです(あれ? でも最近見たなかではイチオシなので未来の自分に今の感動を伝えたい)。アッパーミドル階級の奥さまが夫との関係にぐるぐると悩みながらスタンドアップコメディをかまします。毎回主人公のミッジの身の周りでいろいろな出来事があって、それを後半の圧巻のスタンドアップコメディのシーンで昇華していきます。ミッジの才能を見込んでスタンドアップコメディの道へと引き込んだマネージャーが「あんたはもっと強い女のはずだろ!?」と感情をぶつけるシーンや、大先輩の大人気女性コメディアンに「あなたそのままやってたらだめ、女が成功するのに必要なのはね……」と説教かましてくるシーン、これらへの主人公ミッジの応答の仕方が、すごくいい……! 感情を押し殺して耐えるでもなく、しなやかに女性らしくかわす(笑)のでもなく、ミッジはミッジとして返事している感じがしてとてもすばらしいです。シーズン1のオチもしかり。

 

そう、でも、海外の、映画ではなくてドラマを見ていると、あまりにもストーリー畳む気なさすぎる展開が続き、それが本当に畳まれずに放置されたまま、シーズンが終わる、どころか、ドラマ自体の製作が終わる、という現象が、かなり多く観測できる。ビジネスな理由なのだろうけど、あまりにこういう経験が続くと、オチがないことへの耐性が付いてきて、そもそも物語ってオチなければいけなかったんだっけ……別にどっちでもいいんじゃ……? みたいなやばい感性が育ってくる、いや、やばいとか言いつつ、ブーメランですが……オチってなに……それは、生涯を幸せに暮らしましたとさ、おしまいおしまい、とすることなのかなあ。しかし多くの人の人生にオチはないではないか? いつ終わるかわからないままいまを生きるのではないか? これはアメリカドラマ(オーストラリアも)が現代人の生そのものであることを指しているのであろうか? ああ競争社会……新自由主義……よくわからなくなって畳めなくなったので、この記事はここで打ち切ります。ご精読ありがとうございました。再開して欲しいという署名が集まったら続きを書くかもしれません。そのときはどうぞまたよろしくお願いします。